懲役太郎にならないためには

出所後の就労とスキル獲得の重要性

よく、受刑者の間で「懲役太郎にならないためには出所後の仕事が重要」という話はよく聞きます。

懲役太郎とは、刑務所への入所を繰り返す人を指す、いわゆる塀の中スラングですが、近年、出所後の再犯を防ぐための施策として、受刑者の就労支援や就労のためのスキル獲を支援する動きが注目されています。

特に、アメリカでは刑務所や拘置所から出所した人々の再犯率が非常に高く、経済的、社会的な負担となっています。これを改善するためには、受刑者が出所後に安定した職を得ることは社会全体が無視できない課題と言えるでしょう。

経済的安定の確保

出所後の就労によって安定した収入を得ることは、出所者が自立した生活を送るための基盤となります。

当たり前ですが、経済的な困窮から解放されることで、犯罪に手を染めるリスクが減るというわけです。

日本でも更生保護の取り組みはありますが、まだ十分に普及しているとはいえません。

受刑者の未来を変える「Brave Behind Bars」プログラム

そんな中、アメリカでは、刑務所の中でWebデザインを学ぶ——。そんな画期的な取り組みが注目を集めています。

「Brave Behind Bars」と呼ばれるこのプログラムは、MITとマサチューセッツ大学ローウェル校が共同で開発した、受刑者向けのWebデザイン教育プログラムです。

バーチャルクラスルーム技術を活用し、受刑者たちはHTML、CSS、JavaScriptなどのWeb技術の基礎を学びます。

さらに、社会問題に取り組むWebサイトの制作にも挑戦。この過程で、デジタルスキルだけでなく、問題解決能力や創造性も磨いていきます。

プログラムは複数の大学で認定されており、受講者の自己効力感を高める効果も期待されています。2023年には、アメリカ東部の6つの矯正施設から55人もの受刑者が参加するまでに成長しました。

このようなプログラムを通じて得たスキルは、出所後の就職に役立ちます。

社会的再統合の促進

職場は社会との接点を持つ場所であり、受刑者が社会に再統合するための重要なステップです。仕事を通じて社会的なつながりを築くことで、孤立感が軽減され、社会に対する帰属意識が高まります。Brave Behind Barsのプログラムでは、受講者が社会問題に取り組むWebサイトを制作することで、社会との関わりを持つ機会が増えました。

生活習慣の改善

仕事を持つことで規則正しい生活リズムが確立され、健康的な生活習慣を維持できます。また、働くことで時間を有効に使い、ストレスや無聊を感じることが少なくなります。Brave Behind Barsの参加者も、スキルを習得する過程で自己肯定感や自信を高めることができました。

法的および倫理的意識の向上

就労は責任感を養う場でもあり、法的および倫理的な意識の向上に寄与します。仕事を通じて目標を設定し、その達成感を味わうことで、健全な人生目標を持つことができます。受刑者が出所後に新たな目標を持ち、それに向かって努力することは、再犯防止に非常に効果的です。

犯罪への代替行動の提供

働くことにより、建設的な活動に時間とエネルギーを費やすため、犯罪に手を染める可能性が低くなります。Brave Behind Barsのような教育プログラムは、リハビリテーションの一環として機能し、受刑者が犯罪から脱却する手助けとなります。

出所後の就労とスキル獲得は、再犯防止において非常に重要です。経済的安定、社会的再統合、生活習慣の改善、法的および倫理的意識の向上、犯罪への代替行動の提供、そして社会からのサポートという多くの側面で、これらの施策は再犯防止に寄与します。

特に、「Brave Behind Bars」のようなプログラムは、受刑者が社会に再統合し、安定した生活を送るための有効な手段となっています。出所後の就労支援を強化することは、社会全体の安全と安定につながる重要な課題です。

参考記事: 受刑者向けのWebデザインプログラム「Brave Behind Bars」が、再犯率の低下に貢献