独居房か雑居房、どちらがよいか?

日本の拘置所や刑務所では、収容される人々(未決拘禁者・既決囚)に対し、単独室(独居房)と共同室(雑居房)のいずれかが割り当てられます。

独居にも雑居にも、それぞれにメリット・デメリットがあり、収容者の状況や施設の運用方針によって適用が異なってきます。

本記事では、単独室と共同室のメリット・デメリットを比較します。拘置所や刑務所にいる家族や知人を待つ人にとって、何かしらの参考になれば幸いです。

単独室(独居房)のメリット・デメリット

単独室(独居房)のメリット

プライバシーが確保される

当然ですが、単独室では他の収容者と接触する機会が減り、個人の空間が確保されます。

特に拘置所で未決拘禁者(起訴されて判決がまだ出ていない状態)の場合、裁判の準備を落ち着いて進めることができます。

暴力・いじめのリスクが少ない

塀の中での生活で特に気になるのが、いじめの問題です。共同室では、収容者同士の暴力やいじめが発生する可能性がありますが、単独室ではそうしたリスクが低減されます。

感染症のリスク低減

共同室では結核やインフルエンザなどの感染症が広がりやすいですが、単独室ではそのリスクが低くなります。

単独室(独居房)のデメリット

精神的負担の増大

拘置所や刑務所という閉鎖された空間で、誰とも会話しない生活が続くと、孤独感が強くなり、うつ病や精神的な不安を抱える収容者が増える可能性があります。

長期間の単独室拘禁により精神疾患を発症した事例は珍しくありません。いわゆる拘禁ノイローゼと呼ばれるものです。

監視の難しさ

共同室に比べると、収容者の異常行動に気づきにくく、異変に対応が遅れることがあります。
例えば、自殺のリスクが高まる可能性が指摘されています。

例えば、令和3年には、岡山刑務所で40代の受刑者が自殺した事例があります。これは、看守の巡回が遅れたため、発見が遅れたとされています。

刑事施設における自殺事故事例 | CrimeInfo

2010年以降の刑事施設における自殺事故について、法務省への情報公開請求および新聞記事により入手した情報をまと

長期間の単独室収容による精神的影響

日本国内の刑務所でも、長期間の独居房収容により精神的に不安定になるケースが報告されています。

共同室(雑居房)のメリット・デメリット

共同室(雑居房)のメリット

寂しくない

共同室では、収容されている者同士が会話できるため、孤独感や寂しさを紛らわせることができます。

社会と違って、非日常・閉鎖的な環境である拘置所・刑務所の生活では、孤独に耐えられる人はそう多くありません。

もちろん、誰とも関わりたくないというタイプの人もいるでしょうが、工場での作業(懲役の場)の内容がどうとか、提供される食事のアレが美味しいとか不味いとか、そういった他愛のない会話が、拘禁生活の不安を紛らわせてくれるものです。

看守が監視がしやすい

看守が異変に気付きやすく、暴力や自殺未遂を早期に防止できます。

拘置所や刑務所では、特に共同室では規則正しい行動が求められますが、その分生活リズムが嫌でも安定し、イヤでも健康的な体になります。

共同室(雑居房)のデメリット

人間関係のトラブル

雑居房における最大の心配事は、人間関係のトラブルでしょう。気が合わない収容者同士が同室になると、暴力やいじめが発生する可能性があります。

過去には、共同室での暴力が原因で、一人の受刑者が死亡する事件が発生した事例もあり、受刑者間のトラブルに看守が十分対応できなかったとされています。

狭い空間では、何かしらの力関係が生まれ、一部の収容者が支配的な立場になることもあります。

感染症のリスク

共同室は、単独室に比べて感染症が広がりやすいです。
2020年の新型コロナウイルスの流行時には、日本の刑務所でも感染拡大のリスクが問題となりました。

未決か既決かにもよる

未決拘禁者と既決囚では、収容の目的や事情が異なります。

未決拘禁者(裁判を待つ段階)

未決の場合、裁判準備のための集中環境が必要なことから、単独室の方が適している場合が多いです。
ただし、長期間の単独室収容は精神的負担が大きいため、一概には言えません。

既決囚(刑が確定した受刑者)

共同室の方が更生に有益な場合が多いです。
社会復帰を見据え、規則正しい生活を送りやすくなります。
ただし、暴力やいじめのリスクがあるため、問題行動のある受刑者は単独室に移すことも考慮すべきです。

まとめ

単独室と共同室は、それぞれに長所と短所があり、すべての収容者に一律に適用することはできません。

未決拘禁者には単独室が適していることが多いものの、精神的な健康面からも、例えば運動の時間だけは他の者と一緒に行うような配置がされるのが望ましいでしょう。

一方、既決囚には共同室が更生に有効ですが、暴力や支配構造のリスク管理が不可欠です。

日本の拘置所や刑務所の運営においては、収容者一人ひとりの状況を考慮しながら配置されていますが、必ずしも希望に沿った配置になるとは限りません。

特に同性愛かどうかや、政治思想などについてなど、入所時には個人のパーソナルな特性についてかなり入念に質問され、配置の際の判断材料とされることは覚えておいてください。

どうか、あなたの待つ家族や友人が、単独室・共同室のどちらに収容されているかを考慮しながら、塀の外から社会復帰に向けた支援をしてください。

もちろん、定期的に手紙を送ることもお忘れなく。